楽曲紹介試聴

ニューヨークなんて行かない

作詞作曲 中村清明 Vocal 中村清明

キヨ(中村清明)のポップセンスが光るCity Popの王道的作品、イントロとオブリガートのギターはチャー坊(橋本俊哉)、リズムギターはキヨ。後から考えるとイントロは7拍 x 2、4拍 x 1+ 流してドラムのスタート待ちという複雑な構成。録音時は多分こんな感じ、という作曲者であるキヨとの会話によって決めていったと思う。オープニングのシンセ(YAMAHA CS-30) はアナログシーケンサー(ボリュームが並んでいる)で作成、日比野礼子とユリッペ(山﨑有里子 )のコーラスが効果的

One Night Darling

作詞作曲 中村清明 Vocal 中村清明

チャー坊のファンキーなイントロが印象的なナンバー、キヨが当時好きだった子を思い浮かべて作った(と思われる)シャイなラブソング。曲中の短音ミュートバッキング、オブリガート、アウトロのギターも全てチャー坊、フェイザーをかけたバッキングはその頃流行っていたSTUFFのエリック・ゲイル風にした。三浦のエレピは全曲、フェンダーのステージピアノを使用。ブラスセクションとドラムのタイミングを合わせるのに苦労した

Forget and Forgive

作詞作曲 中島猛 Vocal 中島猛 Chorus 山﨑有里子 

当時中島が乗っていた赤い車が目に浮かぶ都会的なナンバー。ガットギターでメジャー・セブン・コードを弾きながら四畳半の自分の部屋で作った。タイトルは辞書をパッとめくったときに目に入った熟語。新宿に向かって中央フリーウェイ深夜逆走メローバージョンをイメージした。イントロのエレピはMXRのPhase100を思い切りかけてシュワシュワしている、エリック・ゲイル風イントロ・バッキングはチャー坊、STUFF好きだったものでつい・・ソロギターと以降のオブリガート・アウトロはキヨ、キヨのソロは歌ごころ満載のメロディー、中島のベースと野口のドラムが気持ちの良いグルーヴを醸し出している。

ほほえみの中で

作詞作曲 三浦文夫 Vocal日比野礼子 Chorus 山﨑有里子

「分かっているんでしょ、安心させてよ」という女心を表現したつもり、当時は部屋でタバコを吸うのが当たり前だった。日比野礼子のボーカルとユリッペのコーラスが心地良い。イントロ、オブリガート・ソロのキヨのギターは秀逸、音色とメロディがこの曲の大きな特徴になっている。サビ前のチャー坊のバッキングギターの「チャカボーン」の音が時代を感じる。

Feeling Like A Child

作詞作曲 三浦文夫 Vocal 中村清明

大学時代は白い117クーペに乗っていて、キラー通り沿いのビクター青山スタジオの近くにあったChicというスノッブなCafe Barに向かっている情景を曲にした。全面的に出てくるモータウン調バッキングはチャー坊。キヨのボーカルとブラスの絡みが心地良い。「深い闇から~」のBメロはFmからB△まで降りてきて、更にF#mからG△まで降りてくるという三浦独特の「深い闇」に即した変態コード進行が大きな特徴になっている。間奏の中島のベースのフレージングは歌心がある。

Dim

作詞作曲 三浦文夫 Vocal 日比野礼子

宅録の習作として作った曲、ボサノバリズムのアコースティックギターはチャー坊、エレキギターバッキングはキヨ。これも想定外のコード進行の三浦式変調山盛り、さわやかな日比野礼子の声が怪しすぎるコードの中を静かに進んでいく。ピアノソロはヤマハのグランド、後奏の少しポルタメントがかかったシンセは好きだったGenesisの初期のプログレをイメージした。Apple Musicの空間オーディオ(Dolby Atmos)で聴くと、シンセが360度動き回る。

Morning Beach

作詞作曲 橋本俊哉 Vocal 橋本俊哉

作曲の訓練はしたことがなく作る機会もなかったので、一人一曲作詞作曲と歌縛りという厳しいルールがあって初めて重い腰を上げたのが実態。当時色々考えたが、ポップ調のメロディーは浮かばず、イントロは結果としてTボーン・ウォーカーのブルースみたいになり、そこから無理やり爽やかなマイケル・フランクス調に持っていった。作詞もしたことは無かったが、大学時代湘南に波乗りに行っていたので、そのイメージを描いてみた。使ったアコギは中学の時に吉祥寺ロンロンの新星堂で買ってもらったフォークギター(ヤイリだったか?)だったはず。アウトロで弾いているエレキギターは他の曲でも全面的に使ったエドワーズ(ESP)の335風セミアコ。間奏はエレピとアコピとそれぞれ録ったが、両方再生すると意外と面白いのでそのままミックスした。フォービートはこの曲だけだが、ドラムもベースもスイングしている。

熱帯夢

作詞作曲 三浦文夫 Vocal 日比野礼子 三浦文夫

アンリ・ルソーの絵画のような現実に存在しない熱帯で繰り広げられる、叶わぬ恋を描いた。個性的で魅力的な日比野礼子のボーカルに三浦が絡む。シンセ(YAMAHA CS30)はモノフォニック(単音しか出ない)ので、何度も重ねてストリングス風のオブリガードを作ったが、不思議な雰囲気を出すことができた。野口がドラムスだけでなく、手作りシェイカーなど色々なパーカッションでラテンフレーバーを醸し出してくれた。バックの短音ミュートバッキングはキヨ、カッティングとソロはチャー坊、間奏のソロは圧巻だが、こんな本人の言い訳「ソロの前半終わりにFmで長3度の音で終わらせているのが不協和音だけど、B♭mの7th音に移る前のパッシングだと解釈して頂きたし」

Cloudy Bossa Nova

作詞作曲 野口匡 Vocal 野口匡

一人1曲作詞作曲縛りと決めたので、好きなボサノバの曲調をギターで思いつくコードを弾いて、メロディーを口ずさむ原始的な方法で作った。作曲したのは歌のあるところだけで、三浦、キヨ、チャー坊にイントロ、ソロパート、エンディングを加えてもらい、曲の構成を整えていった。チャー坊のダブルトラッキングのアコギソロは秀逸!一方、作詞は超難関で、曇り空の見える景色の歌なので、暗い気持ちで、それなりに真剣に言葉を探して繋いでいった。そして歌録り、ボーカルはキヨにお願いしようと思ったが、歯の浮く歌詞を他人に歌わせるのもいかがなものかと考え直し、自分で歌うことにした。この曲のドラムは、ただただシンプルに叩いた。アルバムの最後に余韻を感じる曲に仕上げることができた。